きずなメール・プロジェクト 代表のblog

顔と名前を出す人生です。

「請負」ではなく、「協働」のための契約へ。

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2017年、団体として初めて「協定」で契約を締結しました。相手方は基礎自治体岡山県奈義町です。

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これを機に、自治体との契約について、「委託契約ではなく、協定のような形の方が実情に則している」と考えるようになりました。

「委託契約」の中身のほとんどは「請負契約」であり、これだと発注者の下請けになってしまい、事業がコモディティ化するからです。簡単に目的を見失い、サービスを切り売りしてお金をもらう構造になってしまう。

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でも僕らは、サービスを切り売りしたいのではありません。自治体もNPOも、自分たちが属する共同体の公共の福祉を実現するために、互いに持てる社会資源を出し合っているのではないでしょうか。

僕が知る限り、この関係に適した考え方がNPOにおける「協働」であり、適切な契約の形は「協定」や「協働契約」です。 f:id:yukkiestar:20200820113050j:plain

「協定/協働契約」(ひとまず便宜上、こう表記します)は空論ではなく、団体では実際に、神奈川県相模原市とともにこれを実現しています。「さがみはら子育てきずなメール事業の実施に関する協定書」を締結し、目的を明確にして、事業を展開しています。

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実際には、この協働事業のきっかけを作ってくださった地元企業・相模原商事株式会社も含めた「3者協働」ですが、イメージを明確化するため、図では省略しています。

ameblo.jp
以下、協定書冒頭です。

さがみはら子育てきずなメール事業の実施に関する協定書」

 

相模原市(以下「市」という。)、特定非営利活動法人 きずなメール・プロジェクト(以下「実施団体」という。)及び相模原商事株式会社(以下「協賛企業」という。)は、子育て支援さがみはら子育てきずなメール事業」(以下「事業」という。)の実施に関して、次のとおり協定を締結する。

(目的)
第1条 この協定は、市、実施団体及び協賛企業(以下「三者」という。)が協働し、「さがみはら子育てきずなメール」を届けることで妊婦及び保護者を支援し、孤立や不安、産後うつ等を未然に防ぐために行う事業の、効果的な実施を図るために必要な事項を定めることを目的とする。

 

「協定/協働契約」の先進自治体である横浜市には、市民と市職員のための協働契約ハンドブック「AMPERSAND協働実践」があり、その中12ページで、委託と協働の違いを下記の通り整理しています。

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www.city.yokohama.lg.jp

繰り返しますが、自治体もNPOも、自分たちが属する共同体の公共の福祉を実現すべく、互いに持てる社会資源を出し合う関係です。僕らが提供できる社会資源が「きずなメール事業」。自治体との協働を志向するのは、住民にアクセスするインフラでありライフラインだからです。

 

これからは「きずなメール事業」のような「非接触の支援」の重要度は、さらに増します。事業の潜在力を100%発揮するためにも、「請負契約」から「協定/協働契約」に少しづつシフトして行こうと考えています。

 

自治体の方、ソーシャルセクターの方は、ご理解とご協力を、何卒お願い申し上げます。

 

(追記)

10年以上前に、ほぼ同じことを述べておられる方を見つけました。いつか来た道だったと知って感動。備忘として。 

「NPO等と行政の『協働契約(書)』の普及に向けて」市民優位の自治・協働政策?. 今瀬 政司((特活)市民活動情報センター 代表理事)