きずなメール・プロジェクト 代表のblog

顔と名前を出す人生です。

「味が決まる」。

これは内田百間先生に教えて頂いたですが、同じものを食べ続けていると「味が決まる」ということがあります。
 百間先生は、ある時期、昼食に蕎麦を食されることを習慣とされていた。同じ蕎麦屋から毎日同じもり蕎麦を取る。別にうまい品ではない。でも、毎日食べていると「味が決まってくる」。食物を待望する胃袋と嚥下される食物の質量が過不足なくジャストフィットすると、たかがもり蕎麦がいかなる天下の珍味も及ばぬ、極上の滋味と感じられる。たまたま出先で時分どきを迎えたりすると、もういつもの蕎麦が食べたくて我慢できない。先方が気を利かしたつもりで「鰻丼」など取ると、これを固辞されたそうです。

1月8日 - 内田樹の研究室

このエピソードが好きです。極上の蕎麦ではないけど、蕎麦を迎える身体の方が蕎麦にジャストフィットしていく感覚。世界を味わう引き出しが増えたような。僕の場合、バンクーバー・サンドウィッチがこれに近いでしょうか。「美味しい」より「ジャストフィット」。


ネタではなく、仕事の話。自分のほしいものがわかっていて、それを「ほしい」と言う。当たり前に見えますが、本当に当たり前でしょうか。

気を効かした先方は、「誰にとってもメリット」にみえる鰻丼を百閒先生に勧めるけど、断られる。

ここにわかりやすい解はない。でも面白い。だから「わかりやすい解はない」という前提で物事を考えるよう自分に言い聞かせています。

 

鉄橋。

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