きずなメール・プロジェクト 代表のblog

顔と名前を出す人生です。

公的な情報を届けるための最大公約数を考えると「メール」が残る。メールは「基礎メディア」。

自治体等の公共機関が「住民全体に正確な情報を届けたい」とき、費用や手間から「ワンストップ」「一元化」したい気持ちはわかります。ですが当の地域住民が情報を得る方法は千差万別。年配の方にはいまでも「紙」が届きやすい一方で、若い世代はInstagramTikTokしか見ない人もいたり。

こんなとき、冷静に、5歩くらい引いて、「最大公約数の届け方は?」という問を立てると、「メール」という答えがでてきます。子育て世代を視界に入れた場合は、特に。「今さらメール?」といいたい気持ちもわかります。僕自身、ためらいがあります。でも、現実に目を向けると、「メールは基礎メディアになっている」という結論になります。そのファクト(事実)について述べてみます。

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①コロナ禍による「google for education」(G Suite for Education)の普及

グーグルが学校向けに新機能 採用自治体は半数以上に
(教育新聞編集部 2021年2月18日)
https://www.kyobun.co.jp/news/20210218_05/

コロナ禍でオンライン授業が必要になったとき、日本の教育システム会社ではなく、「google education」が爆発的に広がりました。同記事によると「採用自治体は半数以上」とのこと。

使うには「アカウント登録」が必要で、その際「@gmail.com」ではないにしても、なんらかのメールアドレスを持つことになります。

我が家の小学生、中学生の学校もgoogle for educationeducation になり、教育委員会からChromebookタブレットが配られ、今では身体の一部のように操っています。メールを頻用はしませんが、普通に使っています。

Androidスマホの普及率

日本におけるモバイル端末の主要OSとその割合を調べたところ「iOS」は67.11%(+1.5%)、「Android」は32.76%(-1.5%)だった。一方、世界のOSシェアトップはAndroidで72.37%(+0.71%)、iOSは26.98%(-0.63%)という結果に。

(MarkeZine ニュース 2023/02/09 18:30)

https://markezine.jp/article/detail/41274

Android スマホを使うとき、意図的に避けるのでない限り、Googleアカウントをつくることになります。Googleアカウント=gmail アカウント。同記事によると、日本のAndroidスマホの普及率は約3割。理論的には「日本でスマホを持っている人の3割はgmail アカウントをもっている」ということになります。

③個人認証は「SMS認証」「メール認証」

個人情報への意識が高まるとともに、「その人が、当の本人であることを確かめる必要」も増えています。確かめる方法のトップが「SMS認証」(携帯電話番号での認証)で、その次が「メール認証」。これは皆さん、生活レベルで実感があるのではないでしょうか。

④メールは今や、郵便に次ぐ「公的な連絡手段」

公的な連絡手段は今でも「郵便」、つまり「紙」です。その次は「メール」なってきている実感はないでしょうか。

ビジネスではある意味「メール」がかなり公的な連絡の役割を果たしています。コロナワクチンの予約は「メール」でした。厚労省の「アプリ」はほとんど使われずに終わってしまったのに。

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こんな感じで、みんなが使っているメディアやデバイスの「カバー率」「最大公約数」を考えると「メール」が残っていきます。さらに「メール」は、コモディティ化によりコストが劇的に下がっている、発信も受信も0円に近いので、結果として「費用対効果が高い」ということになります。

きずなメールは「テキストメッセージによるセーフティネット」なので、テキストで送れるなら、LINE、メール、アプリ等「媒体」は問いません。僕らも「メールは古い」という空気に押されてここ数年は「LINE推し」でしたが、「メールはあったほうがいい」という声もあって、メール配信を残している自治体があります。

結論。自治体が「地域住民に全体に正確な情報を届けたい」と考えるなら、「LINEかメールか」ではなく「LINEとメール」から考えることが出発点になります。「多くの人がすでにつかっているものを上から順にカバーしていく」と考えた場合、そこには「メール」が必ず含まれるからです。団体として、この現実にしっかり目を向けていきたいと思います。