きずなメール・プロジェクト 代表のblog

顔と名前を出す人生です。

「家事事件手続法23条」による子どもの手続き代理人について

団体内で「子どもの権利条約」のオンライン勉強会を開催しました。団体設立10年目を機に、「コンテンツよる親支援」から「子どもの育ちを支える」ところまで視野を広げようという学びの一環です。

 

講師は弁護士の山下敏雅先生。この分野の第一線で活躍しておられます。

twitter.com

ymlaw.txt-nifty.com

勉強会は、中身の濃い1時間半でした。参加者それぞれに熱い感想がありましたが、ここは僕個人の備忘をアップします。

 

それが家事事件手続法23条」です。

 

子どもの権利条約」12条は「子どもの意見表明権」として、「子どもが自分の意志を表明できる権利」を保障しています。でも子ども自身がこの権利があることを知らないし、知ったとしても、どう表したり伝えたりしたらいいかわからないだろうということで、大人が子どもの意見表明をサポートする「子どもの代理人」「子どもの代弁者」という考え方があります。「子どもアドボケイト」という言い方もあります。

 

でも今の日本で、これを実現できる法律があることは、知りませんでした。それが家事事件手続法23条」です。

 

(裁判長による手続代理人の選任等)
第二十三条 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。
2 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を手続代理人に選任することができる。
3 前二項の規定により裁判長が手続代理人に選任した弁護士に対し手続行為につき行為能力の制限を受けた者が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。

 

実際に山下弁護士は、この手続きを申請し、ある子どもの代理人として代弁したとのことです。

 

僕は、この事実はとても重要だと感じたので、備忘を兼ねてここに書きました。これがどんどん活用されて、子どもアドボケイトが広がるとよいなと思います。

 

 

(備忘のための関連リンク)
kizunamail.hatenablog.com

kizunamail.hatenablog.com

「継続企業の前提」とイエズス会

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僕はきずなメール・プロジェクトを継続させたいと思っています。継続させるには、10年後や20年後の具体的なイメージを共有する必要がある、ならば専門家に何か特別な研修やプログラムをお願しないと、などと考えていました。

そんな時、「ゴーイング・コンサーン」(going concern)を思い出しました。

ゴーイング、コンサーン」とは「継続企業の前提」。企業の財務諸表は、継続することを前提に作られるという原則です。倒産することは、前提にしない。

働く人がいて、生活を担っている組織なら、当然の前提です。だから、NPO法人も含めた、全ての法人に共通する前提といえます。


だとしたら、今いる人たちで、「自分たちがいなくなってもこの法人を継続させるにはどうしたらいいか」について考えるのは、特別なことではなく、やるべき仕事となります。

こう考えると、腑に落ちました。

ということで、今いる人たちで、「自分たちがいなくなっても法人を継続させるにはどうしたらいいか」を考えていきます。


* * *

継続させる最良の方法は、僕が知る限り、これです。

イエズス会の司祭とカルヴァン派の牧師は、重要なことを行うときには期待する成果を書きとめておくことになっていた。そして九ヵ月後、実際の成果と比べなければならなかった。 (ピーター・ドラッカー

イエズス会を、「イゴヨク」(1549年)に来日したフランシスコ・ザビエルとセットで覚えている人は多いでしょう。今も継続していて、日本では上智大学の設立母体として、JR四谷駅前にあります。

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僕らもこれから、どんな成果をイメージして書き留めるかを、考えていきます。
 
四つ葉のクローバーを見つけました。かなり嬉しい😆
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「きずなメール事業」を「テキストメッセージング」という方法論で一般化していく。

f:id:yukkiestar:20200622114310j:plain「きずなメール事業」を一般化したいと考えています。「一般化」とは、同じことをやりたいと思った人が、同じレベル感でできるようになるという意味です。再現性を持たせたい。同じような手続きでコンテンツを編集し、同じように事業を構成することを、別の人たちもできれば、受益者も増えるし、雇用も増やせます。

 

一般化に必要なのは、以下3点だと考えています。

 

①方法論の言語化と体系化
②事業の有効性のエビデンス
③社会事業としての法制化

 

僕は現在、この3つを、「テキストメッセージング」という括りで構成していこうと考えています。


①については少しずつ進めています。

ameblo.jp

kizunamail.hatenablog.com


②も始まりました。

www.kizunamail.com

kizunamail.hatenablog.com

「テキストメッセージング」というキーワードについては、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター・中嶋愛一郎先生との出会いの中でヒントをいただきました。さらにこのご縁の中で、共同研究の提案もいただたことで、大きく前進していると感じます。


③は①②以上に大変ですが、最初の一歩は踏み出したと思っています。

団体として「子どもの権利条約」や「子どもの育ち」にフォーカスした理由のひとつでもあります。

kizunamail.hatenablog.com

kizunamail.hatenablog.com 

* * *

 

別の角度からも説明してみます。

 

「きずなメール事業」は新しい事業です。「新しいこと」が特別なこととは思いませんが、「それを語る言葉」がないので、「新しい」という意味です。図で表すと、下記のイメージです。
 

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オレンジ色のAは、過去の経験から来るその人の世界観、世界の見え方のイメージです。Bは、実際には事業を動かしている重要な部分ですが、言語化できていないので、認識したり共有したりするのが難しい部分です。

 

きずなメールは当初、Aの中で、「メルマガ」として認識されていました。「情報発信」も同様です。でもやろうとしていたのは、コンテンツを用いて人々の孤立を防ぐことです。こういうことは、実際にやってみてから言葉が追いついてくるもので、Aから見たら、「手探り」という以外にありません。

 

だから、僕らの仕事の半分以上は、「BをAに変えていく」ことだと思っています。これまでもやってきて、さらにこれからのto doが、上の①②③というイメージです。


仕事として「BをAに変えていく」ことに、僕はやりがい感じています。「仕事」とは、脳に心地よい単純作業と、「BをAに変えていく」という「創発」(emergence)の両方そろうと、いちばん楽しいのではないかと思う今日この頃です。

 

テラスのイチジクの木に実がなりましたー

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addiction(嗜癖)について。

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生活や社会の出来事を、脳の「addiction」(アディクション)で説明できるのではないかと考えています。和訳すると「嗜癖」(しへき)。「依存」にも近い。何かに依存しない人間はいないと思います。

 

* * *
前提
人間の脳は、同じことを考え続けることができない。常に外部からの刺激を求める。

 

仮説
脳の反応は全てaddiction に収斂する。
addiction は依存症でもある。

 

具体例

生活レベル
食事。主食の糖質への反応はaddiction 。
砂糖も同様。
カフエィン、アルコール、ニコチンは代表的なaddiction 。
スマホ
ギャンブル、特にパチンコはking of addiction 。


社会活動レベル
ワーカホリック、権力欲、名誉欲、出世欲もaddiction 。
承認欲求もaddiction になりやすい。

 

考察1
addiction が社会的であるかどうか。
この”社会的”とは、共同体持続のためのフィードバックシステムに参加するか否か、という視点。


考察2
“学び”は恐らくもっと社会的なaddiction。


考察3
喜びや悲しみへのaddictionもある。


課題
悲しみや怒りにaddictする人もいる。
暴力にaddictする人もいる。


具体例
自傷、DV、虐待

 

課題
自分や他者への暴力にaddictする脳を、いかにして社会的なaddictionに変化させるか。


具体例
当事者研究
“汝自身を知れ”

 

* * *

ひとまずここまで。

 

 

 

「わかっていなかったこと」について。

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「わかっていなかったこと」が「わかる」のは、それが「わかった時」です。

妻は、わかめと豆腐と玉ねぎの味噌汁をよく作ります。彼女がこれをよく作るのは、「好きだから」だということを、僕は最近まで「わかっていなかった」のでした。

 
「嫌いなものを、特別な理由もなく、自ら頻繁に作る人はいない。選ぶ人もいない」ということに、53歳の今頃、気づきいたのです。恥ずかしながら。

 
遅すぎるかもしれません。でもなんとか生きてきました。子どももいて、なんとか育っています。theory of mind の問題かもしれません。僕自身は、世界の見え方が少し変わったと感じます。


 
「嫌いなものを、特別な理由もなく、自ら頻繁に作る人はいない。選ぶ人もいない」のはマーケティングの基本だと思います。今まで気づかないでもやって来れたので、気づいた今はブルーオーシャンです。


 
「この人、嫌だな」と思ったら、黙って離れていく人がいるということも、最近まで「わかっていなかったこと」でした。

 

この「わかっていなかったこと」が「わかった」とき、過去に、多くの人が僕から黙って離れていったのだということを理解しました。よく考えると、僕も無意識にそうしてきたのです。

 

さすがにちょっと、いやかなり悲しいですが、同時に、今近くにいてくれている人、関わってくれている人は、とても有り難い、かけがえのない存在だということも、わかりました。感謝です。

 
僕は、世界は99%、「わかっていなかったこと」で構成されていると感じます。「わかっていなかったことで構成されている」などなぜ「わかる」のか。誰かに聞いてみたい気もしますが、まずは自分で考えます。

雨上がりの近所の公園。

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「音と模様」を共有している私たち

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先日、風呂の中で突然、ある詩の一節の意味が腑に落ちました。その備忘として。

「詩の本質は、発語の共有だ」

現代詩作家・鈴木志郎康の作品「住んでる人しか知らない道」の言葉です。

20年ほど前、僕はこの詩作家の愛読者でした。とくにこの作品が好きで、でも当時はネットにしかなかったので、プリントしたものを持ち歩いて繰り返し読んでいました。

鈴木志郎康といえばプアプア詩が有名ですが、僕はプアプアが落ち着いた、「柔らかい闇の夢」以降の作品のファンです。
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それはさておき。20年前のことを突然思い出して、わかった気になる。伏線があるとしたら、最近、言葉の認知について、「あらゆることが音と模様に還元できそう」など考えていたためかもしれません。

例えば愛の告白。「好きです」という「発語」は、「sukidesu」という喉の筋肉の運動が「音」として空気振動になって、
相手の鼓膜に届いて、電気信号として脳に届いて、さらにそれがホルモンなどの生理現象に変わって、心臓がドキドキする。

ラブレターをもらったとして、紙に書かれているのは、文字という「模様」。「模様」が光を通して目の膜に映り、それが電気信号にとして・・・以下同。

音と模様。
サウンドとデザイン。
Sound & design.
やっぱり音と模様。

紙が貴重品だった時代、詩は歌でした。
万葉集の時代、気持ちを歌に乗せて共有する。
NPOでは、言葉になったvision missionを共有する。
社会を運営するために、法律の言葉を共有する。
どれも共有されているのは、「音と模様」です。
 
さらに、
「意味」という言葉も、「imi」という音であり「意味」という文字の模様。
「感情」という言葉も、「kanjou」という音であり、「感情」という文字の模様。
「共有」という言葉も、「kyouyuu」という音であり、「共有」という文字の模様。

こう考えると、実際に何を共有しているのかわからなくなるけど、何かを共有している感覚はある。

朝起きて、家人に「おはよう」というと「おはよう」と返ってくる
ここで共有されているのは、
「挨拶すると返事するくらいの気分」
「わたしはいつものとおりいます」
という暗黙の情報であり、場合によっては
「今日も生きています」
「今日もあなたと一緒にいます」
という情報かもしれず、
解釈はいくらでも複雑にできるけど、
その瞬間、共有されているのは「発語」であり、
それは「音と模様」なのかなと。

この気づきを与えてくれた詩の一部を、作品への敬意を込めて「kyouyuu」します。
 

当人も他人も忘れてしまう姿を留めたいとは思いながら、
でも、わたしもいつかは忘れてしまう。
小さなことだ。
でも、生きてる。
そこで、言葉。
言葉になり変わる。
わたしは言葉になり変わる。
万感を込めて、言葉になり変わる。
道ばたの草のような言葉になり変わる。
いつか少女が、そこに素手を差し入れて探し出してくれる。

 

鈴木志郎康 作「住んでる人しか知らない道」より引用 

 

改めて、全文はこちら

「協同組合入門」読書メモ

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協同組合という仕組みに興味があるので、先日、近くのコープで「組合員になりたいのですが」と申し込んで、組合員になりました。ご近所さんにこの話をしたら、貸してくれたのがこの本。

 

協同組合入門―その仕組み・取り組み

協同組合入門―その仕組み・取り組み

  • 発売日: 2006/11/01
  • メディア: 単行本
 

2006年と古いですが、わかりやすい入門書でした。以下備忘メモ。

 

* * *


・農協、漁協も協同組合。農協、漁協は一次産業=生産サイドの協同組合、生協は三次産業=消費者サイドの協同組合。
・それぞれ、農協法、漁協法、生協法の根拠法令がある。

・農協と生協の「購買高」は年間3兆円。(↓写真)

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・労働者の協同組合がワーカーズ・コレクティブ。根拠法令は未整備。
・協同組合の基礎単位が「単位組合」。それらは全国的な連合会ネットワークになっている。
・さらにその上部組織「国際協同組合同盟」(ICA=International Co-operative Alliance)がある。
★協同組合の「国連」みたいなの。
・「協同組合のアイデンティティに関するICA声明」
https://jccu.coop/about/vision/ica.html
★協同組合の「国連憲章」のようなもの。素晴らしい内容で、NPOの行動指針としても使えそう。
・イギリス、ロバート・オーエンの思想の影響で試行錯誤があった。1844年設立「ロッチデール公正先駆者組合」が最初の成功例。
・1895年ICA設立、1937年「協同組合原則」、1966年改訂、1995年に100周年見直しで「声明」に。