2018年8月厚労省から発表された「子ども虐待による死亡事例の検証結果等について 第14次報告」では、地方公共団体への提言として、子ども虐待予防のため、妊娠期からの切れ目のない支援が重要であり、女性健康支援センター、子育て世代包括支援センターなどの設置を促進するとともに、その機能を発揮するために、
地域の理解と信頼を得ることが基礎となることから、子育て世代に確実に情報が届くよう、例えば、ホームページやSNSの活用など広報手段・方法を工夫することが重要である。
とあります。
また現在開催中の第198回国会(2019年1月28日~6月26日)の附帯決議「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」では、
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
(中略)
三 若い世代をはじめ、子育てに悩みを抱える者等が相談・支援につながりやすい仕組みづくりを進めるため、SNS等を活用した相談窓口の開設を進めること。
とあり、相談事業においても「SNS等の活用」が示唆されました。さらにご存知の通り、昨今は「忙しい子育て世代には、プッシュ型の情報発信が大事」との認識も広がっています。
だからこそ、知っておくと便利な指標が「アクティブ率」です。
「貴重な地域資源である、自治体の子育て支援・サービスの情報を、プッシュ型でしっかり届けたい」
「今の子育て世代へのコンタクトポイント(接触点)として、SNSを最大限に活用したい」
という自治体職員、地方議員の方には、これ一つ知っておくだけで、さまざまに活用していただけるかと思います。
* * *
「SNS等」という中身はも解釈もさまざまですが、スマホの中ではすべて「アプリ」と考えていただいて大丈夫です。アプリは基本的にダウンロードして、起動(クリックして)して、初めて使えます。僕のスマホにある「LINE」で説明しましょう。
まずアプリ「LINE」をダウンロードして(左)、その後クリックして開いた(起動した)状態が、「アクティブな」=使っている状態です(右)。
(右は「大田区きずなメールLINE版」を開いたところです)
「アクティブ率」とはスマホのアプリを「起動した」=「使った」回数の割合です。大きく「日間アクティブ率」「週間アクティブ率」「月間アクティブ率」の3種類です。
100人ダウンロードして、ある日それを起動したひとが10人なら、「日間アクティブ率 10%」となります。
ちなみに「LINE」の日本国内における日間アクティブ率(DAU)、月間アクティブ率(MAU)はともに86%です。
(2019年4月2日発表「2019年12月期第1四半期決算説明会」資料より)
情報発信として子育てアプリを導入した自治体の議会で、アプリの「ダウンロード数」を成果として報告してるところがあります。しかしながら「ダウンロード数」は、まだアプリをスマホに「ダウンロードした」=「入れた」だけです。これを「起動して」=「使って」もらうことで、ようやく「プッシュ型の情報発信」になります。だから「アクティブ率」を知れば、発信した情報がどれくらいきちんと届いているかがわかります。
重要なのは、「ダウンロード数」とともに「アクティブ率」も、必ず取得可能なデータである、という点です。
きずなメールの導入相談の中で、ダウンロード数とともにアクティブ率について説明した後に「業者さんに聞けば必ず教えてくれますよ」をお伝えすると、後日「確かに教えてくれました! おかげで何を改善すべきかがわかりました!」という声をしばしばいただきます。
スマホのアプリやSNSが、どれくらい活用されているかを計測するための指標が「アクティブ率」です。だからこれを把握すると、実際にどれくらの人が使っているかがわかって、改善や有効活用の大きな手がかりになります。
国が施策として打ち出している「sns等の活用や工夫」の手がかりにもなります。
すでに子育てアプリや母子手帳アプリ、LINEなどのSNSを使っている自治体の方は、ぜひダウンロード数とともに「アクティブ率」を確認してみてください。
これから導入をお考えの自治体の方は、ぜひ「どれくらいのダウンロード数とアクティブ率を見込むか」の目標設定してみてください。
自治体におけるアプリを含む様々なツールは、税を財源とした貴重な社会資源です。確かな知識でしっかりと活用することで、生きたお金の使い方の一助になれば幸いです。