きずなメール・プロジェクト 代表のblog

顔と名前を出す人生です。

読書メモ:預言者ムハンマド

多様性、ダイバーシティを考えるなら、「僕らから遠い多数派」について知るのがよいと思っています。その代表がイスラム教。

今の世界の5人にひとりはイスラム教を信仰しています。2060年には世界最大の勢力になる予測もあります。

https://newspicks.com/news/3741919/body/

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彼らの世界認識の仕方を知りたくて、関連書籍をしばしば読みます。アラビア語は読めませんが、クルアーンも持っています。今回読んだのは↓こちら。

以下備忘として。「 」は同書からの引用。これ以外は僕のメモ。

 

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ユダヤ教キリスト教イスラム教は「セム語系一神教」。砂漠で生まれた。
ムハンマドは「預言者」。神から言葉を「預かる」者。イスラム教ではアブラハム、モーゼ、イエスは全て「預言者」で、ムハンマドは「最終預言者」。
アラビア語には「3語根」というものがあり、名詞動詞形容詞に展開する。ムハンマドの名の語根は「HMD」で「賞賛する」「称える」の意味。人間は言葉で思考するので、日本語話者とアラビア語話者は、思考の仕方そのものが異なることがわかる。

・「何もない砂漠に立ち、その究極の概念を抽象化して「コトバ」に置き換えたのである。その絶対唯一神を、ユダヤ教キリスト教では「ヤハウェ(エホバ)」と呼び、イスラームでは「アッラー」と称するが、意味する対象はまったく同じである。」(P45)

ムハンマドは「クライシュ部族」出身。この部族は、商業と、当時はまだ多神教偶像崇拝だったマッカ(メッカ)神殿の巡礼を仕切っていた大勢力。イスラム教の歴史は、ムハンマドとクライシュ部族の対立を軸に展開する。
・名付け親はアブドルムッタリブ。
ムハンマドは幼少で孤児となったが、ハーシム家の中で大事に育てられた。成人してからは「アミーン(誠実者)ムハンマド」と言われた。
・初婚は25歳、相手は15歳年上のハディージャ。最初の信者でもある。イスラム教の最初の信者は女性。
・最初の「啓示」(神様からの預言)は40歳のとき。洞窟で瞑想中。日本語訳は下記の通り。

誦め「創造主の主の御名において。人間を凝血からつくり給うた」
誦め「何時の主はこよなく尊いお方。筆をもつすべを教え給う。人間の未知なることを教え給う」

・もちろん神の言葉はアラビア語クルアーンは原則、翻訳をよしとしていない(と記憶している)。
・最初の言葉である「誦め」は、動詞の命令形。カントの定言命法も命令形だ。
・「筆をもつすべ」とは書くこと。「人間の知性を象徴するとされる。」(P97)
・「これから知的活動を始めるという新たな宣告こそが、ムハンマドの上に降りた「コラーン啓示」だったのである。」(P98)
・「この与えられた奇跡の言葉はアラビア語の最高峰とされ、『コラーン』と同じレベルの文章をつくり出すことは不可能であるというのがアラブ世界の常識である。」(P110)
・「『コラーン』は目読で理解するよりも、声に出して朗誦するほうが大事とされる。」(P111)
・音読する。一日何回も座って拝む。マッカに行く。徹底的な身体行動が際立っている。
・自分用に年表にしてみた↓。小学生の自由研究のよう。f:id:yukkiestar:20211010160608p:plain

 

・「ハフサは、初代カリフ、アブーバクルが初めて結集した聖典『コラーン』原本の保管者としても名を刻んでいる。」(P208)
ユダヤ教キリスト教イスラム教の大きな違いは、伝聞情報、2次情報3次情報が少なく、創始者の言葉がほぼそのまま書き残されて点。標準アラビア語フスハー)自体が、当時とあまり変わっていないとのことなので、今のイスラム教徒も、創始者の言葉をそのまま誦んでいる。これが強さでもあり、状況を複雑にしている要因でもある。

* * *


ムハンマドの妻が10人以上いたこと、低年齢婚、敵対勢力の女性や子どもを奴隷や資産として扱うところは、僕が育った文化圏からは受け入れがたいものを感じるのも事実。見え方、捉え方自体が大きく違うのだろう。この違いを捉えてみたい。


イスラム教関連では、この↓本も抜群に面白かったです。ameblo.jp

 

↓うちにあるクルアーンコーラン、コラーン、呼び方いろいろ。

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