きずなメール・プロジェクト 代表のblog

顔と名前を出す人生です。

読書メモ2冊/「くじ」を引いてしまって「困っている人」のことを「知ったものの義務」

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2冊まとめての備忘。以下、引用は【 】、これ以外は感想。

同書は、市会議員に初めて立候補する人からおすすめがあって読んでみました。

「分断」という言葉はキツイけど、同書の主張は理性的だと感じました。人をラベリングしてコントロールしようとする政治的な力に対して「それは必要でもあるので、個人は、外部からのラベリングに負けずに生きていくことが大事」というメッセージ。政治は「ラベリングを押し付けられると辛いけど、何にもラベリングされないと不安」という人間心理が原動力ともいえます。

・P54【統一地方選の結果は名簿の数と実際の接触数が全てだ。】

自治体の仕事が多いので地方議会にどんな力が働くかイメージしたかったので、手がかりになります。地方ではマスコミ報道の影響は少なく、公示前に態勢は決している。「共同体のエコシステム」のイメージが適切かも。

・P68【人間の認識というものは極めて厄介な代物で、昨日まで「同一のもの」とみなしていたものでも、それを一度でも「異なるもの」と認識した後は、それまでと同じように事物を知覚できなくなってしまうからだ。】

「トマスの公理」に近い、知覚の仕組み。問題は発見される。真実は開発される。とはいえ、「異なるもの」の認識は主に「言葉」によって成されるのも忘れないようにしよう。

* * *

2冊目。著者の名前は知っていましたが、読むのは初めて。

・P55【ノンアフェクタシオン(非充当)の原則】
初めて知りました。特定の収入を、特定の支出に使ってはいけない原則。目的税はこれに反する。勉強になります。

・P154【この社会には、様々な「くじ」が用意されていて、何千分の1であろうと何万分の1であろうと、必ずその「くじ」を引いてしまう人がいます。この「くじ」とはもちろん、先天的なものとは限りません。たとえば明日、交通事故にあって半身不随になるかもしれないし、難病にかかってしまうかもしれない。そういった「まさか自分が当事者になるとは思いもよらないような『くじ』」も、一定数の人が必ずそのくじを「引かざるを得ない」ことがわかります。(中略)くじを引く可能性は、誰にでもあるーー。だとしたら、社会全体で、そういった「くじ」を引いてしまった人が、極端に不幸にならずにすむ体制(社会保障制度)を確立しなければならないということは自明でしょう。】
カミユやサルトルがいう「不条理」、僕が「あちら側」と呼んでいるものを、著者は「くじ」という。これが、次のくだりにつながります。
P155【こう考えてみると、世の中には、「困っている人」と「困っていない人」の2種類がいるのではなくて、「困っている人」と「いずれ困るかもしれない人」の2種類がいるにすぎない、と捉えることができます。】
P206【そうやって偶然で社会問題を知った人の中には、「知ったものの義務」として、コミットメントする人が一定数出てくる。】
「くじ」を引いてしまって「困っている人」のことを「知ったものの義務」としてコミットしていく。僕は自分が家族を持った時、「核家族」が歴史的には新しい現象で、この構造の中でストレスは簡単に弱いものに向かうらしいと「知ってしまった」ことが、今の仕事につながります。

豪華客船。

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