本に書かれている文字は、単にくねくね曲がった線だったり点です。そういうものを読んで元気になるって不思議です。「読書会で元気になる」というのもさらに不思議です。でもそう思わせてくれる読書会でした。
読書会【津富宏・細川甚孝・松原明とともに読むポランニー「大転換」】の3回目。
過去の会のメモはこちら↓
読書会【津富宏・細川甚孝・松原明とともに読むポランニー「大転換」】参加メモ - Kizunamail Project 代表のblog
読むのはカール・ポランニー著「大転換」(The Great Transfomation)です。
- 作者: カール・ポラニー,野口建彦,栖原学
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2009/06/19
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 17回
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以下、いつものようにスタッフへの情報共有として「無いよりはあったほうがマシ」という個人メモ。★は僕の感想。
* * *
(津富さん)
・若森みどり「カール・ポランニー」も参考にしつつ解説。
・経済領域と政治領域は分離できない。
・「失業や貧困は、市場経済の自己調整メカニズムによって解決されるべき」という考え方は、飢えによって人を脅かして働かせるのと同じ。
・土地、労働、貨幣は本来、自己調整市場で流通すべきものではない。擬制商品。
★自己調整市場によりあらゆるものがコモディティ化するのは、すでに目の前で起こっている。マルクスが100年以上前に指摘したこと。今はビジネス用語としても一般化している。
★僕がいた出版業界では、原稿料などクリエイティブの価格がこの10年で急激にコモディティ化した。そのピークがDeNAのwelq事件。
・経済=契約=自由は、市場社会観の結果。
・責任を通した自由のあり方。
・オーウェン的社会主義=ポランニー的社会主義=民主主義>自己調整市場
・resignation 「諦める」と約されるが、「覚悟して受け入れる」に近い。
★心に沁みる。
・オーウェンは、複雑な社会の現実を受け入れた最初の社会主義者。
・利己主義に基礎を置かない経済が必要。
・万人のためあふれるばかりの豊かな自由を想像するという自己の使命=Missionに忠実にであれ
・市場も死と同じくらい不条理
・津富さん「この本は、人を鼓舞する。勇気を与える本。だから読まれる。ただ分析しただけでもない。ある種の道徳的な呼びかけ」
★勇気をもらいました。
(松原さん)
・この本は戦う本。
・ポランニーは元ジャーナリスト。新自由主義者の論点を挙げて、ひとつひとつ潰している。
・「規制が自由を拡大する場合もある」
・「社会の中で自由が実現する」
・私的問題と公的問題は切り離せない。
・ミルズ社会的想像力が好き。市民社会論が好き。
・ユートピア思想は、社会的弱者が強者を覆すための思想。社会的強者はイデオロギー。
・「自己調整市場」はイデオロギー。
・協力の技法が重要。
・NYセントラルパークはNPOが運営。資金の7割は寄付。「俺たちの公園」という主体性。
・全員参加!
・経済から逃げない。
・すべてを自発的結社化する必要がある。
★元気をいただきました!
* * *
この読書会を経て、「市民社会」という言葉が、自分の中で形を持ち始めています。人間誰もが「ちゃんとしたい」という意欲があり、そこにフォーカスして目を逸らさない、でもユーモアは忘れない。そんなことを和やかに話せるようになれればなーとの余韻でした。